ベラルーシ紀行 「社会主義見学」Day4(最終日) 26th July 2018
最終日、早朝にUberで宿を後にした。朝の8時くらいのフライトでミンスクを出て、リトアニアのヴィリニュスに戻ることになっていた。駅までUberで向かって、そこから空港行きのバスに乗った。
早朝の駅はまるで閑散としていた。朝の駅が静かなのは、東京でもマーストリヒトでも同じだった。僕は、早朝動き始める前の街を見るのが好きだ。日が登り始めて、これから何かが始まっていく、そのの瞬間が、僕は好きだ。僕は旅に出ると、朝早く起きて、動き出す前の街を、コーヒーを片手に歩く。コーヒーこそなかったが、ミンスクでもその瞬間を味わうことができた。
空港には着いて、チェックインした。手荷物検査に入る前に、一度ターミナルから出て、最後のベラルーシの景色を目に焼き付けた。たった4日滞在しただけとは思えない数の発見があった。
ヴィリニュスに向かう飛行機の中で、僕がこの旅で手にしたものについて、ぼんやり考えていた。正直なところ、手に入れたものよりも、失ってしまったもののほうが大きい。そんな感覚がしていた。
いつの間にか、「旅をすること」に慣れてしまったのかもしれない。僕はいままで40ヶ国近くを回ってきたけど、旅をすればするほど、変わったものを見れば見るほど、より刺激のあるものを欲するようになってしまった気がする。旅をするほど、普段身の回りにある何気ない見慣れたものに、関心を持たなくなっていった気がする。もう20歳の時のように、見るもの全てを新鮮に感じることは、おそらくできない。
さらなる刺激を求めて、旅をするというのは、麻薬のようなものなのかもしれない。旅にも中毒性がある。ただ、旅には必ず終わりがある。刺激のある旅を欲するようになってから、僕は旅に疲れのようなものも感じ始めた。遅かれ早かれ、人は旅人であることをやめて、家に帰りたくなるものなのかもしれない。
「独裁国家を見てみたい」、「EUの外のヨーロッパの国を見てみたい」、「ロシア語の世界を見てみたい」という、子どもみたいな興味で訪れたベラルーシの旅は、終わりを告げた。またひとつ経験と知識が増えた。ひとつ知識と経験が増えて、ひとつ感動できることがひとつ減った。僕はまだ新しいものを見たい、と思った。また、感動を求めて旅を続けるに違いない。まだしばらく、旅人でいよう。