計画された偶然性3

 (計画された偶然性2の続き。)

 

  行き先は、内閣府の事業で辛酸をなめたリトアニアと同じヨーロッパ、自分の大学の提携校があったオランダ。自分が本当に国際機関を目指すのか、この留学を通して見極めようとしていた。その目的があって、EUの歴史や政治的な繋がりを学ぶコースを履修することにした。

 

 オランダで学ぶにつれて、僕は次第に国際機関は自分に向いていないと思い始めた。何度か国際機関で働く人の話を直接聞いて、その正義感の強さと自分を犠牲にする献身性、そして国際機関で働くという夢に向かって、10年近く準備する粘り強さはとても僕にはないものだなあと思った。と同時にビジネスで世界に貢献している人にも会って、ビジネスの持つ力に魅了された。1年後留学から帰ってきて、完全に国際機関や外国の大学院に進学する気持ちがなくなったわけではなかったけど、僕はビジネスの道に進もうと考えていた。

 

 

 就活の時結局自分が何をやりたいかはわからなかったし、今でもよくわからない。それでも、不思議な縁で社会全体を支える大黒柱のような会社に入って、みんなの命に関わるものを販売する部門にいる。社会貢献性の強い会社にいることは、まかりなりにも国際貢献したいと思っていた自分と不思議なご縁があるように思える。

 

 

こうして見てみると、僕はかなり行き当たりばったりに決めているし、不思議な力に導かれているのかなあとも思う。人生は点を繋いでいくもので、後から振り返ると、それが線のように見える。よく言われるように、僕のこれまでの人生もそうだった。これからも自然体の自分の心の声とご縁を大切にして生きていけたらいいなあ。

 

 

 

以上、思いつきで書いた計画された偶然性でした。3部の連載おわり。

ちなみに「計画された偶然性」のタイトルは、岩瀬大輔さんのハーバードMBA留学記のある章から拝借しました。