Day3 デン・ハーグ, モハンマドくん ヨーロッパ2019

彼とは、留学中の国際刑事裁判所でのイベントで会った。イベントで座った席がたまたま隣だった。僕は珍しいものにすごく惹かれるので、アフガニスタンから移住プログラムでオランダに来たと聞いて、その時に話を深く聞いてみたくなった。そのイベントの1週間後にもデン・ハーグで会っているので、今回はそれ以来2年ぶりの再会である。

  彼は、僕より1歳年下でおよそ10年前に難民の移住プログラムでオランダに移り住んだらしい。当時、彼が住んでいた地域はオランダの中でもかなり保守的な地域で、移民としてやってきた彼の家族はかなり差別やよそ者扱いを経験したらしい。僕もオランダ留学中に何度もアジア人のステレオタイプなイメージを押し付けられたり、明らかにオランダの現地の人とは別の扱いを受けたりしたので、なんとなくイメージはできる。ただ僕は、オランダでは外国人だ。だから、多少そんなことを経験しても、文化の違いとか僕はよそ者なんだからしょうがないと思って受け入れることができた。でも、彼の場合はオランダに来た日からずっとオランダ人として、その後暮らしていた。彼の経験した差別や難しさは、僕のそれをはるかに上回っていたと思う。今回彼が何度も繰り返し言っていた「自分にとってそれほど大切じゃない人がどう言おうと気にするな。自分とか自分にとって大切な人の言葉を大切にしろ。」という言葉は強く印象に残った。今まで、難しい境遇を乗り越えてきた彼が発する言葉だからこそ、すごく納得できてすっと入っていったんだと思う。

 彼は大学生をしながら、デン・ハーグにあるアフガニスタン大使館で働いているそうだ。卒業後は、アフガニスタンに戻って外務省に入るらしい。バランス感覚の優れた彼なら、活躍できる気がした。その日僕はユニクロで買った、葛飾北斎のTシャツを着ていて、モハンマドくんはそのTシャツをたいそう気に入っていた。「来年ここに来るとき、そのTシャツを俺にもくれ。」彼は僕が毎年オランダに来ると思っているけれど、次はいつになるかわからない。できたら次はアフガニスタンで。彼が愛するその国を、いつか訪れてみたい。

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シーシャを初めてやって、これがなかなか良かった。モハンマドくんはスーパー優男だ。(2019.9.20 Den Haag)