Day6 スコピエ 「マケドニアについて思うこと」ヨーロッパ2019

  スコピエは、すごく暑かった。昼間ならTシャツ1枚で外を歩いていても、全然寒くない。日本でプリントしたガイドブックを見て、今日の2つの目的地を決めた。貯まっていた飛行機のマイルを使って泊まったホテルは、キレイではなかったけど、まあまあいいホテルだった。

 

 昨日バーで話した人が、マケドニアのトマトとチーズはすごくいいと教えてくれたので、ホテルの朝ごはんで食べてみた。確かにトマトは、めちゃめちゃシャキシャキで美味しい!ヨーロッパのトマトは、酸っぱいのが普通だとどこかで聞いたけど、マケドニアのトマトは味が強すぎなくて、食べやすかった。硬さがパプリカと同じくらいで、初めての食感だった。僕は元々チーズがそんなに好きではないけど、ここのチーズは酸味が少ないプリプリのチーズだった。もしマケドニアに住むことになっても、食のトラブルは、少なそうだ。風邪予防で、たっぷりはちみつを入れたコーヒーを飲んで、ホテルを出た。

 

 スコピエは、歩いて見て回れるくらいの大きさの街だ。そんなに人も多くないので、一人で歩いていても、落ち着いて見ることができる。街の大きさが地元とそんなに変わらないから、居心地がいいのかもしれない。(スコピエの人口は約50万人、岐阜は40万人くらい。)そんなことを考えながら、昨日来たマケドニア広場を抜けて、旧市街に着いた。ヨーロッパの主要都市の多くは、旧市街と新市街があって、歴史と経済とかあたらい文化を共存させている。

 

 スコピエの新市街は、正直に言うと退屈だった。お店のほとんどが観光客用のお土産屋か観光客を意識したカフェか何かのお店になっている。バカンスとか、家族で来たらこういう場所は重宝するんだろうけど、バックパッカーをしている僕には不似合いに思えた。雰囲気だけ感じて、旧市街を後にした。

 

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スコピエ の旧市街のオールドマーケット。野菜とか地元の人のための食べ物を売っていると思っていた。ドイツからの観光客が多い印象。(2019.9.22 Skopje)

 



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旧市街のオールドマーケットと新市街のマケドニア広場の間にかかる橋。石造りの橋は日本であんまり見ない気がする。(2019.9.22 Skopje)

 ショッピングモールのカフェでパンと紅茶を飲んで、次の目的地に向かった。スコピエのスーパーの値段は、日本のディスカウントスーパーとそんなに変わらない気がした。どうもマケドニア産のものは安いけど、外国(主にEU)から輸入する製品には、2倍くらいの関税がかかっているらしい。ただでさえ為替で調整されて高くなるのに、そんなに高くなったら、普通の人は買えないと思う。

 

 ちなみにマケドニアの平均月収は250ユーロくらいで、スコピエの家賃はだいたい200ユーロくらい。これでは生活できないから、ホワイトカラーの人でもだいたい2つ仕事をしているらしい。(地元の人の話)これは日本の僕の初任給のだいたい10分の1。もちろん物価は違うけど、人生R的な選択肢にどれだけ差が出るんだろうと思った。

 

日本では、ヨーロッパの全部が「キレイでお金持ちでみんなハッピーな場所」というステレオタイプなイメージを持って見ている気がする。目の前のキレイな景色と、地元の人の生活の実情差に、大きなショックを受けた。今回、有名な西ヨーロッパではなく、バルカン半島を目的地に選んだ理由のひとつが、そのステレオタイプなイメージを壊すことだった。マケドニアでの経験は、その目的を果たすのに十分だった気がしている。

 

 バスに乗って、二つ目の目的地の目的地のミレニアムクロスに向かった。この旅は2週間。やりたいことを全部詰め込んだので、いざ初めて見ると結構タイトだった。ここに来るまで、ずっとスケジュールを気にしながら駆け抜けてきた。特に急いで見るものもなかったので、ノートを開いて、頭の中にあったことを書き出してみた。知らない場所を旅すると、見るもの全てが新鮮なので、情報量がハンパなく多い。気がつくと、1時間以上経っていた。

 

 カップルに写真を頼まれたので、写真を撮った。彼氏の方は、ハンガリーマケドニア人の2世3世の子どもにハンガリー語を教えていて、8ヶ月マケドニアに住んでいるらしい。「東欧は見るものはあんまりけど、人は圧倒的に優しいよ。」確かにそうだと思った。僕がスコピエに1日半滞在して、今日の夜出発すると言うと、それは十分だと言っていた。

 

  こうして今振り返ると、街の中心に川があって小さな山があって、盆地がちなスコピエの地形は岐阜にそっくりだ。この街はいればいるほど、好きになる。

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ミレニアムクロス(山の上の十字架)からの景色。いつかスコピエ以外のマケドニアの街も見てみたい。(2019.9.22 Skopie)

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ハンガリー人の先生が撮ってくれた写真。高いとこから景色を眺めるのは、やっぱり気持ちいい。(2019.9.22 Skopie)

 将来もし、「オランダとマケドニア、どちらで働きたい?」と聞かれたら、今ならマケドニアだと答える。なぜそうか具体的な理由はよくわからない。ただ、スコピエで見た多くのものが、僕の心を惹きつけるには十分だった。

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夜のマケドニア広場。1日半で出て行くのが、名残惜しくなるような素敵な街だった。(2019.9.23 Skopie)