北朝鮮レストランで見たもの

 10月に北朝鮮の国営レストランに行った。1回生の時、中国の内モンゴル北朝鮮

国営レストランに行ったことがあるので、2度目の体験だった。とはいえ、4年ぶりだ

ったので、入るのにかなり緊張した。

 

1回生で中国に行った時、僕は中国語も韓国語も全く話せなかった。内モンゴルのレス

トランでは、英語が通じなかったので、片言のコミュニケーションしかできなかった。

その時以来、韓国語(この場合は朝鮮語)で北朝鮮の人と話すのが、僕の小さな夢のひ

とつになった。

 

レストランのドアは、分厚くて中の様子が見えないようになっていた。おそるおそるド

アを開けた。中は意外と普通だった。

 

僕は観光で使うような韓国語のフレーズしかわからないので、言いたいことは言えるけ

ど、ガーと話されると全然わからなくなる。注文をした時、英語で返された。文法がぐ

ちゃぐちゃで理解するのが、大変だったのかもしれない。

 

料理は結構美味しかった。内モンゴルでは、料理が激辛で食べるのが大変だったので、

マイルドな味付けで助かった。

 

料理以上に印象に残ったのが、ウェイトレスさんだった。

僕らが行った時、そんなにお客さんは多くなかった。何人かいたウェイトレスの人は、

手に紙を持っていて、それを見ながら、ずっともごもご何か呟いていた。よく見ると、

ロシア語の教科書で隙間にはびっしりメモ書きがされていた。

 

必死で勉強する姿勢を見て、僕はその背後にあるストーリーを想像していた。あの人た

ちは優秀だから、外国に派遣されて、働いているのだおう。でも、あるレベルまで

ロシア語が上達しなかったら、送り返されるのかもしれない。そう思うと、すごく考え

させられた。

 

 

北朝鮮レストランで働いていたウェイトレスの人に限らず、見ていてすごいなと思う人

ほど、勉強したり、何かを必死で学んでいたりする。オランダでもトップレベルの人た

ちは、たくさん本を読んでいたし、図書館にこもってすごい量に勉強をしていた。そう

いう人たちにすごいねという言うと、だいたいケロッとしていて、涼しい顔でまだまだ

だよと言っていたりする。みんな決まって謙虚だ。

 

そういう人を目の当たりにしていると、自分の中にある、「これくらいやって当たり前

でしょ」みたいな基準が、徐々に上がっていく感覚がある。この感覚はなかなか気持ち

いい。

 

学ぶことは旅と似ている。知らない場所、知らないことを知るのは、シンプルに楽し

い。受験のように結果にこだわって肩肘を張るのではなく、学ぶそのプロセスを楽しめ

たらいいなと思う。