覚悟が信頼を生む 新たな環境で、信頼を積み上げること。

 周りの人から信頼を得られるとか、信頼される人って、どういう人なのか時々考える。僕は、覚悟がある人が周りからの信頼を得られるんだと思う。

 

 日本の大学のような似たような人が、集まった環境だとこういう類の問題は、考えにくい。似た人同士なので、相手の中身や背景については、なんとなく想像がつく。何もしなくても、最初は信頼されてしまうことが多いからだ。新しい環境で「お前、誰だ?」みたいな場所だと、自分の一つ一つの行動、発言が、周りからの信頼に繋がっていく。

 

 勘違いしている人が多いけど、日本人は外国で、日本で言われるほど信頼されていない。日本でよく言う「外国で日本人は信頼されている」は、あくまで「悪いことをしない」だったり、「犯罪を起こさない」だ。つまり、邪魔をしないと言うだけで、一緒のチームで働く時に、戦力としての信頼をされている訳ではない。信頼というより、信用という言い方の方が近い気がする。

 

 その意味でオランダは、0から信頼を積み上げていくステップだった。オランダの大学では、僕が受けていた全ての授業で英語を使っていた。そもそも日本人は、英語を話さない人たちと思われている。(現地では語学留学と勘違いして、大学留学していた人が多かった。残念ながら、オランダ人の考えも間違った認識ではない。)また、交換留学生には、義務として取得しなければならない単位がないことが多い。そういう状況だと、グループワークで全然意見を主張しなかったり、授業を途中で捨ててしまう人が出てくる。

 

 留学開始当初、「オランダ人学生から、「日本人と一緒のグループにしないでくれ」というクレームが上がることがある。」という話を聞いていた。自分でもびっくりしたのだが、およそ半年後僕とオランダ人学生で一緒に、「あの日本人を僕たちのグループから外してください」と直談判しに行った。彼は自分に任された仕事をやっていなかった。はっきり言って、めちゃくちゃ邪魔だった。単位取得にプレッシャーがかかっていない僕でも、そう感じたのだから、オランダ人の彼にとってもかなり迷惑だったと思う。

 

 留学中やそれ以降も、色んな人をグループワークで間近で見てきたが、結局「自分を犠牲にする覚悟がある人。目の前のタスクに対して、自分のベストパフォーマンスを出し続ける覚悟がある人。」が、信頼を得ていくという考えに至った。

 

 どんなに英語が下手でも、周りの人やグループのために、自分の時間を使ってはたらいたり、グループワークのとその前後の時間くらいは、グループのタスクを最優先で取り組む。そういう姿勢で取り組み続けることが、0やマイナスから信頼を積み上げていくプロセスなのだろう。

 

 もしかしたら、至極当たり前のことなのかもしれない。でも僕らはこの姿勢を忘れがちだと思う。慣れてくると、「友だちだからちょっとサボってもいいか」とか「困っているんだから、言わなくても助けてくれるでしょ」みたいな雑念が入っていくる。そういう油断から、信頼は傾いていく。積み上げるのは、とてつもなく時間がかかるが、崩すのは一瞬だ。それが信頼だと思う。

 

 どんな状況でも、緊張感を持って取り組むことが重要なのだろう。僕はそれを「プロ意識」と呼んでいる。

 

一挙手一投足全てが信頼につながっていくのだろう。覚悟を持って、自分のベストパフォーマンスを出し続けたら、足跡のように信頼はできていくはずだ。