勉強が一番勉強になる。

 「留学」はビックワードだ。私は留学しましたという人はたくさんいるが、それぞれしてきたことが全く違うし、そもそもその中身は、検討されることがあまりない。昔1ヶ月グループで海外旅行したのを、留学したと言っている人がいて、すごく驚いた。海外インターンシップもワーキングホリデーもバックパッカー旅行も経験した人の話を聞いた事があるけど、真剣にやりきれば、どれもその道で素晴らしい経験だと思った。留学という言葉がビックワードになって一人歩きしているし、留学経験者と言ったら、オールオッケーになってしまっている。留学にしてもそれ以外の海外体験にしても、もっとその留学の中身とか現地での行動がわかるような言い方になるといいと思う。

 

 僕は2017年から12ヶ月、将来の国際機関への就職を目指して、オランダの大学に交換留学をした。当時の僕は、大学3回生で、国際機関で働くことへの漠然とした憧れと、ビジネスをしてお金を稼ぐことへの嫌悪感から、国際機関の職員になりたいと思っていた。たったそれだけの理由で、国連で働きたいと本気で思っていたので、当時の僕が、いかに無知だったかよくわかる。

 

 世の中、怖いものを知らない方が、一歩目の行動が踏み出しやすいのかもしれない。留学中、全ての経験が糧になると思って、たくさんのことに全力で取り組んだ。ほぼ未経験にも関わらず、ヨーロッパ人ばっかりのサッカーサークルに入ったり(みんな半端なく上手い!)、ヒッチハイクをしてドイツ人の家族に話を聞いたりした。国際機関への道も考えて、日本人の国際公務員の方のお話を聞きに行ったり、オランダのハーグにある国際司法裁判所の若手向けの会議に参加したりした。多くのことが日本でやらなかったことで、僕の目には新鮮に映った。

 

 1年間オランダで得た経験は、全部僕の宝物だ。21歳というタイミングも、オランダという場所も、ベストな条件だったと思う。もし1年の経験の中で、どれが一番大きかったかと聞かれたら、僕は間違えなく大学での勉強だと答える。

 

 オランダの大学での勉強は、楽しかった。授業も授業の準備や課題も、大変だったけど、刺激的だった。オランダでの勉強で、学ぶということは、基本的には考える力につながっているべきだとということを学び取った。(もちろん特定に分野の専門知識をつけるのが目的の場合もある)

 

 大学での勉強を通して、事後的に色々な気づきや学びを得た。物事は順番が大事だ。オランダの友人も、自分に取り入れた考え方も、それ自体を目的にすることはできなかったと思う。

 

 オランダから帰国した後、今まで聞いてもよくわからなかったり、気にも留めなかったような話が共感できるようになったりした。以前より、はるかに引っかかりが増えたと感じる。もしかしたら、それが僕が1年間のオランダでの挑戦を経て手にした、成長なのかもしれない。