スローモーション W杯ロシア大会inオランダ

 僕は割とテレビでスポーツ観戦をする方だ。今までたくさんの試合を観ていたと思うけど、その中でも強く印象に残っている試合がある。2018年サッカーw杯ロシア大会の日本対ベルギー戦だ。

 

 僕は当時オランダにいた。ロシアw杯は久しぶりにオランダが出場できなかった大会(予選敗退)で、オランダは割と静まり返っていた。だから、日本がグループステージを勝ち抜いて、オランダの隣国のベルギーと対戦することになったとき、やっとワクワクした。

 

 とはいえ、当時のサッカー日本代表は直前にゴタゴタがあった。大会前の親善試合でw杯に出場しないチームに完敗して、その時の監督のハリルホジッチが解任された。実は、解任されることになった試合を僕はスタジアムで観戦したのだけど、素人の僕にもわかるくらいイマイチな感じだった。

 

 日本代表はグループステージを突破して勢いに乗っていたとはいえ、対戦相手のベルギーチームは世界のトップ10に入るくらいの強豪だった。僕はがっかりするのが嫌だったので、ベルギー戦の前半は自宅のPCで観ていた。それも前半が終わりかけていた時間から観たのだが、予想に反して日本が先制した。僕は急いで自転車をかっ飛ばして、いつもサッカーを観戦していたアイリッシュパブに駆け込んだ。

 

 到着すると、あっという間に日本の2点目が入った。それもベルギーのディフェンスを見事に切り裂いた得点で僕の興奮はマックスだった。パブにいた客のほとんどがベルギーチームを応援している中で、日本のサッカーの歴史が変わる瞬間を目撃したのだ、僕はそう確信した。

 

 サッカーは2点差が、一番危険なスコアらしい。ここから闇に突き落とされる様な20分が始まった。日本はとても混乱している様に見えた。あれよあれよという間に、2点差を追いつかれてしまった。

 

 まだ日本は90分での勝利を目指していた。それでも試合終了直前に、流れるようなカウンター攻撃からあっけなくひっくり返された。

 

 僕はその瞬間がスローモーションの様に見えた。あまりにもショックなん瞬間だったので、このシーンは今でも観ることができない。

 

 おそらく、ヨーロッパ人を相手に日本から来て戦っている姿が自分と重なって見えていたのだと思う。その彼らが「いい試合」をして、最後にドンとひっくり返されてしまったことは、僕にもそれなりの傷を残した。

 

 試合の後、1週間くらいベルギー人とかオランダ人の友人が励ましとか、ジョークのメッセージをくれた。当時は最悪な思いをしたが、今となっては留学中のいい思い出だ。