生きているだけ Dairy No.10

  バラナシの宿で朝目覚めると、土砂降りになっていた。昨日の夜に予約した朝のお祈りを見る船には、乗れなさそうだ。雨が止んだのは朝8時ごろだった。舞っていてちりが雨で落とされたので、久しぶりにコンタクトレンズを使うことができた。

 

 インドの道を歩いていると、本当に色々な人を見かける。宗教、貧富、言葉、どれをとっても本当に多様だ。もちろん親切な人もたくさんいるけど、僕のような外国人を巧みに騙そうとしてくる人もいる。そんなインド人を貫くのは、「そこで生きているだけ」ということだ。

 

ニューデリー駅前を歩けば、すぐインド人のおじさんたちに取り囲まれる。彼らは真剣に外国人を騙して、旅行会社に連れて行こうとする。そこで高額なツアーを申し込ませるらしい。バラナシのメインのガンガーに座っていると、かなりの頻度で物乞いに話しかけられる。彼らは穏やかで、何かあげれば喜んで受け取るし、断れば、割とあっさり退散する。僕には、そのどちらもその土地で生きていくために、適応した姿に見えた。

 

結局みんな生きているだけなのだ。人をだましてでもお金が必要だから、そうする。物乞いになってお金を求めないと生きていけないから、そうする。僕も食っていくためには、お金が必要だから、働く。(それが全てではないけど)みんなやり方や適応方法は違うけど、ただただいけているだけなのだ。

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バラナシの物乞いたち。持っていたお菓子をあげた後の写真。お金より食べ物をあげる方が気持ちがいい。(2020.2.25 Varanasi)

 それでも、インド人の今日を生き抜くことへの執着心はすごい。その一人ひとりが放つ熱が、大きなエネルギーになって、インドという国を形成している。

This is India.インドはどこまで行っても、掴みきれない。