卒論体験記⑤ 2018-2020

 進学希望

 8月の頭に帰国した後、しばらく僕は何もしていなかった。というのも、外国の大学院に行きたいという思いがくすぶっていたからだ。留学から帰ってきて、すぐ改めて留学したいと言い出す。親や大学の先生など、周りの人が否定的な反応を示すことは、だいたい織り込み済みだったので、僕は一人で思いを温めていた。情緒的な言い方をしているけど、この時期は本当に何もしていなくて、久しぶりに戻った大学の寮で、ずっと横になってぼおっとしていた。全然生産的じゃない時間だったけど、じゃあ今そのときに戻って何か前向きに動けるかと問われると、それはわからない。

 

 思い切って、親に自分の意思を伝えてみると、案の定ネガティブだった。この時の親との関係が今までで一番冷え込んでいた気がする。自分の考えを伝えることはほとんどなかったし、だいたい僕はぶすっとした顔をしていた。結局、応酬のような喧嘩をすることになった。

 

 らちが明かないので、僕は大学院に行って何がしたかったのか、考え始めた。大別すると、「英語を使って、外国人と話すこと。勉強して、新しい知識を得ること。」だった。そのために取れる身近な手段として、オンライン英会話と読書を始めた。それらをある程度続けて、それでも大学院に進学したかったら、その時行こうと考えていた。今考えると、これはなかなかいい決断だった。(よく考えると、これはなかなか筋のいい問題解決思考である。達成したい目標を分解して、それぞれの目標に対して、取ることのできる最適な手段を打つ。これが問題解決の基本。コンサル思考とかいうまでもなく、全員にアプライできるはず。)

 

 大学院進学を脇におくとなれば、目の前に迫り来るのは就職活動である。僕が学生だった頃は、3回生の春や夏からの準備が重要で、インターンシップなどは必須だと言われていた。(就活にまつわるそれは学生の噂レベルの話だと思うが、もし本当なら僕は懐疑的である。学生の本分は勉強である。ろくに大学の勉強をせず、変なトレンドに流される学生は本当に活躍できるのだろうか。大いに生存バイアスがかかった意見だが。)僕は春学期は丸々オランダにいて、夏のインターンシップもほとんど締め切りが終わっていた。

 

 大学の就職支援課を見ると、掲示板にまだ募集中のインターンシップの案内が張り出されていた。その中から、自分が馴染みのある企業だった大手生命保険会社の1Dayインターンに申し込むことにした。

 

 選考もないそのインターンシップは、抽選でになっていて、僕は運よく当選した。結果的にこれが僕の唯一参加したインターンシップになった。(就活直前、僕はそれに焦りを感じて、OB訪問を何人もした。結果的に僕の就活はOB訪問が決め手になったので、その戦略は当たりだったのかしれない。)

 

 結局、保険業界を就活で受けることはなかったので、インターンでお世話になったその企業にも縁はなかった。今思い返すと、この時期に就活の空気を感じておいたのは、いい機会になった。

 

次回は、そのインターンシップの内容と夏以降のゼミでの研究について書きます。文章が長くなって、なかなか前に進まない。

 

※おそらくインターンシップに参加していれば、採用ルートに乗る場合もあるが、インターンシップは採用の必要条件ではないだろうというのが僕の考えである。でなければ勉強や外国での活動など就活以外のことに取り組んでいた学生は評価されないことになる。ある程度のタイムリミットはあるが、採用側もそれくらい器は広いでしょう。(あくまで個人の意見。サンプル数1の話だ笑)